――にも関わらず、海洋生物の1/4、魚に限って見ると60%以上の生物たちが生息しています。
これほどの多様性を守ることから、サンゴ礁は「海の熱帯雨林」と呼ばれています。
世界には800種のサンゴがあり、日本にはそのうち400種、沖縄の島々には380種が生息しています。
面積で言うと、世界には60万㎢のサンゴ礁、日本には374㎢、そのほとんどは沖縄に集中しています。
しかし、豊かなサンゴの海も、人の居住地を確保するため埋め立てられたり、気候変動による海温上昇で
白化現象が起き死滅したりと、壊滅的な打撃を受けています。
このままでは海の中だけではなく陸への影響、もちろん我々人間へのダメージも計り知れないものになります。
Characteristics of the sea in Onna village
恩納村の特徴は、南北に27.4km程あり、西海岸一帯は沖縄海岸国定公園に指定されています。
恩納村の海の大きな魅力を3つご紹介します。
国定公園という特殊なエリアにダイビングポイントが多数あり、南は真栄田岬エリアから始まり北は万座エリアまで。
ノンダイバーからベテランダイバー、さらには子供から大人まで家族みんなが満足できる海が魅力の一つです。
有名なダイビングポイント
青の洞窟
体験ダイビングでも体験することのできるポイント。
ビーチからもボートからもエントリー出来て、毎年たくさんのダイバーやシュノーケルのゲストが訪れます。
通常洞窟でのダイビングは体験ダイビングだとできませんが、水深が浅い事、洞窟内はオープンウォーターになっている奇跡的な地形のため、体験ダイビング等、初心者でも潜ることができます。
万座・ドリームホール
ダイビングライセンス保持者限定(中級者~上級者)
万座エリア有数の人気スポットです。
水深-5mの小さな穴からエントリーして水深25mの縦穴、横穴を泳ぐ洞窟があります。
洞窟の出口付近にはたくさんのハタンポが群れており、青く見える出口は【ピカチュウ】のシルエットに見えることで有名です。また、浅場にはたくさんのサンゴが生息しています。
ボートで最短5分のポイントもありアクセスが抜群なところも魅力です。シュノーケルや体験ダイビングで人気のスポット青の洞窟はビーチでもボートでもアクセスが可能で、ボートなら最短10分ほどの立地ということもあり沖縄本島屈指の人気スポットとなっています。港から出港後、10分以内に多数のドロップオフのポイントがあります。
恩納村は2018年に「サンゴの村」を宣言して、サンゴ再生に力を入れています。サンゴの移植活動や養殖植え付けなど、恩納村漁業協同組合が主体となり、ダイビングショップが協力をしながら恩納村の大切な宝として、自然環境に優しい地域づくりを目指しています。水中では養殖している「サンゴ畑」が目の前で見られるポイントもあり他では体験できない魅力がありすぎる海が恩納村の海です。
サンゴの産卵ダイビング
恩納村エリアは200種類以上のサンゴが生息していて、
毎年サンゴの産卵を観測することができます。
季節限定の5月~6月末頃までの2か月間。
1年間かけて育ったバンドル(卵)が
年に1度だけ海に放たれる神秘的な光景です。
恩納村の海は、沖縄本島の中でも豊富な生態系や地形が存在し、マクロ、大物、サンゴの産卵、ビギナーからベテランダイバーまでオールマイティーに楽しめる稀な海です。
また、沖縄屈指のリゾートエリアで近場でリゾート体験ができる素晴らしい場所です。
Creatures living in the sea of Onna village
Current status of the sea and coral in Onna village
恩納村には年間280万人の観光客が訪れます。
人が海で潜ったり遊んだりすることで、海に与える影響として下記のような問題が考えられます
ダイバーがサンゴをフィンで蹴って折る
サンゴに触れる、サンゴの上を歩く
同じポイントに集中的に潜ったり
餌付けにより周辺のサンゴや生態系が崩れる
ビーチのバーベキューによって
ゴミが海に流れる
釣りのエギや釣り糸がサンゴに
ひっかかりサンゴが死んでしまう
特に釣りの人気スポットになっている場所では釣り糸がサンゴに絡まっていたり、海の生物に釣り針や糸が絡まっている
ボートを固定するためのアンカーで
珊瑚を傷つけている
ブイを設置する際、珊瑚にロープを
括っている為に傷つけている
The role of coral
サンゴは植物ではなく動物です。サンゴはサンゴの中で、「褐虫藻」という小さな植物を飼って、
協力しながら生息しつつ、周囲に影響を与える多くの役割を担っています。
被度評価基準
75-100%
50-74%
被度評価基準
80-100%
50-79%
compared to 50 years ago
沖縄のサンゴは、人々の暮らし、時代に影響されて環境分布や量を変化させてきました。
サンゴが地表面を覆う割合(サンゴ被度)から、50年でサンゴがどう変化してきたか見てみましょう。
1972年
1972年にはサンゴ被度も40%以上ありましたが、オニヒトデや
埋め立てなどにより、一時壊滅状態となってしまいました。
1995年には1972年と同程度まで被度が回復するも、その後、サンゴ被度の減少と増加を繰り返しています。
2020年
2020年時点で、中央値・平均値から見ても全盛期だった1972年、1995年と比較し、残念ながら減少傾向にあります。
特に沖縄の本土復帰後から続く埋め立ては、サンゴ礁が二度とサンゴ礁生態系となり得ないため、影響は計り知れません。
Causes affecting corals
地球上の生態系は、複雑に関わり合いながら生きています。そのため「悪い生き物」は存在しません。
しかし、海の富栄養化など様々な原因によって起こる、サンゴの天敵のオニヒトデやレイシガイの異常発生は生態系に悪影響を及ぼし、サンゴ減少の原因となってしまいます。
サンゴに高水温などストレスが与えられると、褐虫藻がサンゴの体内から外に出てしまい白化します。
白化したサンゴはエネルギーを十分に得ることが出来ず、褐虫藻が戻らなければ死んでしまいます。
サンゴ礁が広がる浅海域は開発が比較的容易なため、埋め立てられたり、航路のために破壊されたり直接的に破壊されています。
また、土砂や都市、工場などからの富栄養排水や有害物質の流入も死滅の原因の一つです。
Garbage problem
「年間800万トン」のゴミが、毎年世界の海に流出しています。
すでに世界の海に存在していると思われるプラスチックゴミは合計で「1億5,000万トン」。
環境中に排出され、最終的に海に流れついたプラスチックは、約700種類を超える海洋生物を傷つけ、命を奪っています。
漁網に絡まったウミガメ
特に多いのが、使い捨て用が中心の「容器包装用」です。
1度使っただけで捨てられる容器包装用のプラスチックは、
世界のプラスチックの年間生産量の36%、プラスチックごみ発生量では47%を占めています。
プラスチックゴミの最大の問題は、自然に分解されないことにあります。
一度、海に流れつけば、数百年にもわたり、生き物を傷つけ続けます。
さらにプラスチックゴミは、波や紫外線の影響で大きさ5mm以下の「マイクロプラスチック」に。
海の魚がマイクロプラスチックを飲み込み、さらにその魚を別の生物が食べ…と、
プラスチックが食物連鎖の中に組み込まれてしまいます。
ビーチに漂着したペットボトル
サンゴへの影響として、ゴミがサンゴに堆積すると、サンゴの中に住む褐虫藻という植物プランクトンが光合成できなくなります。
すると、サンゴへ栄養を渡すことができず白化し、最後には死滅する原因となってしまいます。
日本はプラスチックの生産量で世界第3位。
特に1人当たりの容器包装プラスチックごみの発生量については、世界第2位です。
日本では、容器包装プラスチックごみが、年間900万トンのプラスチックごみ全体の約半分を占めています。
(図出典:https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3776.html)
UNEP(2018)
Single Use Plastic
(一社)プラスチック循環社会協会
プラスチックリサイクルの基礎知識2018
Problems surrounding coral
Problems surrounding coral
現在、サンゴ礁生態系におこっている影響は、海域のみならず陸域も含め
さまざまな要因が複合的に絡み合って生じています。
サンゴ礁は、アジアだけでも10億人分に相当する食糧資源を提供しており、世界的には魚の漁獲高の10%がサンゴ礁由来といわれています。
サンゴが海から無くなることで、今は当たり前のように食卓で食べている魚が食べられなくなるかもしれません。
波浪や津波などの災害から私たちの生活を守ってくれる防波堤の役割も果たしています。サンゴ礁は、風によって生じた波の力を、7~9割吸収してくれるという概算もあります。
サンゴがなくなることで災害がより大きな被害へ繋がる可能性があります。
食料資源や防災機能、さらには観光資源も含めると、サンゴ礁の経済的価値は、1 ㎢あたり1,000~6,000万円とも試算されています。
サンゴの喪失は、経済活動にまで影響を及ぼします。
月1,000円のご支援で…
ゴミ拾いは危険な作業
高い場所から低い場所へモノが落ちていくように、海の中のゴミも、海の中で深度の深いところに落ちています。
また、釣り糸などのゴミは蓄積して絡まり、大きくなっているため重さもあります。中にはサンゴに複雑に絡まり、サンゴを殺してしまっているゴミも。船でしかいけないような場所に、多くのゴミが集まっていることもあります。
海の深度が深いところにある、大きくて重いゴミを撤去するには、一般のダイバーの方では難しく、インストラクターの中でもベテランの人にしか対応することができません。
月3,000円のご支援で…
毎日のように違う海
我々「恩納村マリンレジャー協会」がお客様を案内する海は、ほとんどが恩納村の海です。毎日のように潜ることもある恩納村の海。
見慣れた風景ですが、実は水温や潮の流れなど、潜る度にその環境は異なります。恩納村の海の環境の変化に、敏感に気づくことができる我々だからこそ、サンゴを植え、管理していくことに長けていると言えます。
月5,000円のご支援で…
サンゴを育てるも殺すもダイバー
我々ダイビング事業者は、海とは切り離せない関係です。お客様に綺麗な海を見せて喜んでいただきたい、特別な景色を目に焼き付けて欲しい。そのような我々の想いに、サンゴは全力で応えてくれます。
一方で、人間が自然の中で活動すると、意図せずとも影響を与えてしまうことも事実です。
潮の流れに押されて、気づくとフィンがサンゴに当たって折れてしまった。船の上で風に吹かれてビニールが飛んでいってしまった。
海の中や、海の上だけの問題ではありません。陸上での活動も、長い時間をかけて海に影響を与えます。
ダイビングという仕事を通して、自然に優しいダイビングの仕方を伝えることや、みんなと一緒に海への影響を考えることも、我々ダイバーができる海への恩返しです。
About us
わたしたちは、恩納村の海を安全に楽しんでもらうため、地域と連携を取りながら環境保護など様々な活動に取り組んでいます。
協会サイト:https://oma.or.jp/
恩納村が行なっている「サンゴの村宣言」プロジェクトに賛同し活動に取り組んでいます。
恩納村/サンゴの村:https://oma.or.jp/coral_village/
恩納村マリンレジャー協会 代表
内原 靖夫
まず、海に入る前にサンゴや海に生きる生物などの知識を付けて環境への配慮を意識して海を楽しむことが長期的な保全に繋がっていきます。
恩納村の海の世界を楽しんでいる、楽しもうと思っている全ての方々が、モラルを持って自然を愛することが、未来の恩納村の海がこの先も輝いていけるかを決定します。
恩納村では現在グリーンフィンズの行動指針により環境に出来るだけ優しいダイビングやシュノーケル等のマリンスポーツを楽しむ指針を掲げています。
他にもダイバーや釣り人が集中している場所で水中清掃を定期的に行うなど、海に対して私たちができることはたくさんあります。
この活動が村内全域から沖縄県、日本各地へと広がっていく事が持続可能な観光に繋がっていきます。
マリン事業者の意識、そして恩納村の海を楽しんで頂く皆様と共に、恩納村の海を次世代へと繋いで行きましょう。
環境部 自然保護課
琉球列島はサンゴの宝庫
https://www.pref.okinawa.jp/site/kankyo/shizen/koen/documents/02.pdf
熱帯雨林と肩を並べる高い生物多様性
https://www.pref.okinawa.jp/site/kankyo/shizen/koen/documents/03.pdf
第6章 沖縄県のサンゴ群集の現況と変遷
https://www.pref.okinawa.jp/site/kikaku/joho/kikaku/opendata/data/24.pdf
サンゴ礁保全のための観光レジャープログラム集
https://www.pref.okinawa.jp/site/kankyo/shizen/documents/programleisure1.pdf
公有水面埋立の概要
https://www.pref.okinawa.jp/site/norin/gyokogyojo/kanri/umetate.html
2020 年度モニタリングサイト 1000 サンゴ礁調査報告書
http://www.biodic.go.jp/moni1000/findings/reports/pdf/2020_coral_reef.pdf
沖縄島周辺におけるサンゴ礁現状調査およびオニヒトデ大量発生予知への試み
https://www.okikanka.or.jp/pdf/no-5-1.pdf
【サンゴ類】海洋生物レッドリスト(2017)
http://www.env.go.jp/press/files/jp/106404.pdf
サンゴ「白化」のメカニズムと台風との関係
https://www.nacsj.or.jp/2020/08/21200/
サンゴ礁を守り、再生するために
https://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/53/04-09.html
海洋プラスチック問題について
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3776.html